第 五 人格 陰 キャ 組 と は。 #9 陰キャ組が見送る話

[第五人格]愛なんて。[短編集]

第 五 人格 陰 キャ 組 と は

あまりの寒さに凍えて帰ってきたイライを出迎えたのは、温まった部屋の空気と、空腹のお腹にトドメを刺すようないい匂いだった。 「ただいま。 あ~・・・、暖かいぃ・・・!」 玄関からリビングへ繋がるドアを開けてすぐ、冬の間は出しっぱなしにしてある炬燵へとイライは潜り込む。 炬燵は丁度いい温度で温まっており、凍えたイライの体をじんわりと溶かしていく。 普段だと自室へ戻り、前世からお世話になってる梟であるぽっぽちゃんを構いに行くのだが、今日は炬燵から出られないようだ。 「おうお帰り。 外寒かったろ?」 「寒いどころじゃすまないよ・・・。 しばらくは寒いって言ってるし、もしかしたら私、凍死してしまうかもしれない・・・。 」 「ほい、ココア。 」キッチンで夕飯の準備をしていたナワーブがマグカップを持って来てくれる。 ナワーブが淹れてくれるココアは少量のブランデーが入っている。 ココアにブランデーを入れるのは前世からのナワーブの癖で、ココアの甘さとブランデーのアルコールが体の芯から温めていく。 荘園に居た頃も人気のメニューで、特にモウロは初めてココアを飲んだ時はあまりの美味しさに目を輝かせながらその場でくるくる回っていたのはいい思い出だ。 ナワーブも自分の分のココアを持ってきていたため、きっと夕飯はあらかた完成しているのだろう。 そのままテレビをつけながら何気ない話をしていると、階段を下りてくる足音が二つ聞こえてきた。 「あ、イライさんおかえりなさい。 ちらっと聞こえたんですけども、もしイライさんが凍死してしまっても僕が納棺するので安心してくださいね。 」 「イソップが納棺してくれるなら安心だね。 ぽっぽちゃんの世話は僕に任せて。 」 「君たち酷すぎないかい! ?私が凍死したらイソップ君はきっと泣くし、ぽっぽちゃんはしばらくご飯食べてくれないと思うからね!?」 「大丈夫です。 ぽっぽちゃんならきっと、僕の手からご飯食べてくれるはずです。 」 「そんなこと無いし!・・・きっと無いし!!!」 二階から下りてきたイソップとノートンと言い合いをしていると、ナワーブが空になったマグカップを片手に立ち上がる。 夕飯の火の具合を見てくるようだ。 ついでにと、イライの空になったマグカップも預けておく。 「あ、そうだ。 机の上綺麗にしといてくれ。 もうすぐできるから。 」 「任せてナワーブ。 今日の晩御飯は何だい?」 「見てからのお楽しみ。 お前らおとなしく待ってろよ。 特にイソップ。 」 「何で僕だけ名指しなんですか酷くないですか?」 「イソップ君が一番食い意地張ってるからだと思うよ。 」 「そんな・・・!ノートンさんまでそんなこと言うんですか・・・! ?」 「あはは。 」 イソップがよく食べるのは、かつて荘園にいたメンバーでは共通の認識である。 元々よく食べるほうだったが、現代に生を得てからは以前よりもよく食べるようになった。 本人曰く「料理が前よりも美味しいのが悪いんですよ」とのことらしい。 「ちょっと二人とも、机の上片付けてよ。 私しか片付けて・・・、これは二人とも働いてないから、私だけご飯もらえる感じでは?」 いいよね、ナワーブ?一人で炬燵の上を片付けていたイライが不穏なことを言い始める。 机の上は4人分のレポート資料や私物が散らばっており、確かにこれを一人でやったとするなら優遇されてもいいだろう。 という量だ。 慌ててイソップもノートンも慌てて片付け始め、炬燵の上で無数の腕があちらこちらの飛び交う。 冬の間は皆、自室よりもリビングに集まってくる。 必然的に炬燵で勉強をすることが多くなるので、あっという間に物が散らかってしまう。 「イソップ君、これ部屋にもってって。 僕はここの図鑑片付けるから。 」 「了解ですノートンさん。 ついでに机拭いときますね。 」 「そういう所だよ、二人とも・・・。 」 一人でやっても終わらなかった量が一気に減っていくのを横目で見ながら、ナワーブは冷蔵庫の中から味噌を取り出す。 味噌を入れるとコクが出て美味しいと聞いたのだ。 ふと冷蔵庫の隅、ぽっぽちゃんの餌が入っている場所を見てみると、中身が減っている袋がある。 ぽっぽちゃんに関してはイライに任せっきりなので報告しなければ。 「そんな凹んでるイライ君にお知らせです。 ぽっぽちゃんのおやつがもうすぐ無くなりそう。 」 「あれ?もうそんなに減ってた?」 「減ってる。 こないだトレイシーが来たとき、ヘレナと二人してあげてた。 」 「成程。 丁度明日は特売日だし、食材買うついでにまとめて買ってくるよ。 」 イライと話をしながら味噌を溶かす。 味噌が溶け、チーズを乗せたら今日の夕飯は完成だ。 「よっし、できたぞ。 今日の飯は鍋~。 」 「待ってました!」 「イライさん、そこにある取り皿取ってもらってもいいですか?」 「これ?って今日のお鍋、2つもあるんだね。 味が違うのかい?」 「そう。 こないだウィラが教えてくれたミルフィーユ鍋とトマト鍋にしてみた。 」 「それ絶対美味しいやつ。 」 鍋の蓋を開けると、美しく層になっている白菜と豚肉が並んでいるミルフィーユ鍋と真っ赤なスープの合間にチーズが溶けているトマト鍋のいい匂いが漂ってくる。 ミルフィーユ鍋にはにんにくが散らされており、食欲を誘う匂いがたまらない。 トマト鍋はドロっとしたスープとチーズがいい具合に具材に絡まっているだろう。 「何言ってるんですかイライさん。 ナワーブさんのご飯はいつも美味しいに決まってるでしょう。 」 「違いない。 」 「褒めても〆のリゾットに卵が追加されてオムライスになるくらいしかないぞ。 」 「「「それで十分。 」」」 「「「「いただきまーす!」」」」 結局、〆にオムライスとミルフィーユ鍋の出汁でうどんを作り、4人のお腹に収まったことは言うまでもない。 本日のメニュー:あったかミルフィーユ鍋とトマト鍋.

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[第五人格]愛なんて。[短編集]

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金曜日。 全休の日。 そしてバイトの日でもあるが、夕方からサークルがあるので昼シフトだ。 店を出て大学へと向かっていく。 手には作るのに失敗したドーナツたち。 これを持っていくと先輩方がとても喜んでくれるので恒例みたいになっている。 特にナワーブ先輩は子供みたいに喜ぶ。 大学にも慣れてきた6月。 段々曇り空が多くなってきて、梅雨の空気感が出てきた頃。 そろそろテストも視野に入れなければならない。 まぁ一ヶ月前から始めればなんとかなるだろう。 テスト勉強も部室でやろうかな。 そういえばイライさんは第二外国語は俺と同じドイツ語をとったと言っていた気がするので教えてもらおう。 そんなことを考えながら、ノートン・キャンベルは部室棟に着いた。 サークルの部室は4階。 軽い足取りで階段を昇ってゆき、部室近くまで行くと、話し声が聞こえてきた。 どうやら先輩方はみんな先に来ているらしい。 サークルに入ったばかりの時は入るのに狼狽えていたが、もう遠慮はなくなってきた。 「こんにちはー」 「ノートン!!ドーナツ!!」 「第一声がそれですか。 ちゃんとありますよ」 「やったぜーさんきゅー!!」 入るなりナワーブ先輩がキラキラした目でどーなつをたかってきた。 もはやいつものことだ。 最近のお気に入りらしいチョコリングを手際よく紙ナプキンに包んで頬張る。 素手で取らないあたりになんとなく親の教育の良さがみえる。 「ナワーブくん、後輩にたかるの少しは遠慮したらどうですか…ノートンくん、こんにちは」 「バイトお疲れ様、ノートン。 まぁ、食べ物のことになったらナワーブは周り見えてないからな」 「イソップさん、イライさんも、こんにちは。 俺はもう慣れたことなので、大丈夫ですよ。 ナワーブ先輩、独り占めしないで先輩方にも分けてくださいね」 「わかってるよー」 毎回イソップさんはナワーブ先輩を窘めるが、ナワーブ先輩は右から左へと聞き流している。 というか、聞こえてないだろう。 チョコリングを咥えたまま、ポンデリングをイソップさんに、フレンチクルーラーをイライさんに渡し、俺にはオールドファッションを渡してくれた。 俺が想定した通りに渡すのでもうみんなの好みは把握済みらしい。 「俺次はエンゼルクリームがいいなー」 「残ってたらね」 毎回すごく美味しそうに食べてくれるから、どうしても甘やかしてしまう。 イソップさんはやれやれ、という顔 マスクでほとんど見えないがなんとなくそんな目をしている をしつつみんなにお茶を出してくれる。 部室というかほぼ家なのはもう気にしていられない。 とりあえず落ち着いてきたので、本題に入ることにする。 「日曜日は、夢の国に行くんですよね」 「ああ、なぜか親戚からチケットが手に入ったからね。 なにか用事でもできたか?」 月に2回ほど色んな場所で鬼ごっこをするのがこのサークルの活動なのだが、今回は夢の国へ行くらしい。 あれこれみんなで場所を出し合ったが、深夜に唐突にイライさんが「チケット貰えた。 夢の国行こう」とメッセージを送り、ナワーブ先輩が「いいな!!」と押しに押しまくって夢の国に行くことになったのだ。 俺とイソップさんはそのやりとりを今日の朝に気づいた。 「いえ、俺、初めて行くんで」 「え、そうなの!?」 「僕もです…」 「イソップは人混み苦手だものな」 苦手なことを知りつつも提案して採用したイライさんはきっとめちゃくちゃ行きたいんだろうな。 たぶん、イソップさんと。 直接聞いてはいないが、なんとなくこの二人の雰囲気には甘さがある。 温泉街とかをぶらぶら歩くのが似合うような気もするが、大学生だものな。 「じゃあさ、半数行ったことないなら、みんなバラバラで鬼ごっこするんじゃなくて、ペアでやってもいいんじゃね」 きちんとゴミをまとめていたナワーブ先輩が提案する。 たしかに、1人でどこかわからず動くよりはいいかもしれない。 「僕は、そっちの方がいいです」 「イソップを1人にするのも不安だな。 ノートンはどうだ?」 「俺も、マップの把握に時間かかると思うんで、ペアの方がいいです」 「じゃあ決まりだな!俺とノートンで逃げる方やりたい!」 笑顔で立候補するナワーブ先輩。 なんか今日は甘えたレベルが高い気がする。 悪くは無い。 イライさんもイソップさんも反対はないらしく、2人が鬼役になることになった。 なんかイライさんが「最近相手の行動を読んでじわじわ追い詰めるのが楽しくなってきたんだ」とか言ってたけど聞かなかったことにしよう。 こうしていろいろと話し合いは進み、朝一で夢の国集合ということになった。 そしてみんなで晩御飯を食べるまでがテンプレである。

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#1 陰キャ組がごはんを食べる話

第 五 人格 陰 キャ 組 と は

あまりの寒さに凍えて帰ってきたイライを出迎えたのは、温まった部屋の空気と、空腹のお腹にトドメを刺すようないい匂いだった。 「ただいま。 あ~・・・、暖かいぃ・・・!」 玄関からリビングへ繋がるドアを開けてすぐ、冬の間は出しっぱなしにしてある炬燵へとイライは潜り込む。 炬燵は丁度いい温度で温まっており、凍えたイライの体をじんわりと溶かしていく。 普段だと自室へ戻り、前世からお世話になってる梟であるぽっぽちゃんを構いに行くのだが、今日は炬燵から出られないようだ。 「おうお帰り。 外寒かったろ?」 「寒いどころじゃすまないよ・・・。 しばらくは寒いって言ってるし、もしかしたら私、凍死してしまうかもしれない・・・。 」 「ほい、ココア。 」キッチンで夕飯の準備をしていたナワーブがマグカップを持って来てくれる。 ナワーブが淹れてくれるココアは少量のブランデーが入っている。 ココアにブランデーを入れるのは前世からのナワーブの癖で、ココアの甘さとブランデーのアルコールが体の芯から温めていく。 荘園に居た頃も人気のメニューで、特にモウロは初めてココアを飲んだ時はあまりの美味しさに目を輝かせながらその場でくるくる回っていたのはいい思い出だ。 ナワーブも自分の分のココアを持ってきていたため、きっと夕飯はあらかた完成しているのだろう。 そのままテレビをつけながら何気ない話をしていると、階段を下りてくる足音が二つ聞こえてきた。 「あ、イライさんおかえりなさい。 ちらっと聞こえたんですけども、もしイライさんが凍死してしまっても僕が納棺するので安心してくださいね。 」 「イソップが納棺してくれるなら安心だね。 ぽっぽちゃんの世話は僕に任せて。 」 「君たち酷すぎないかい! ?私が凍死したらイソップ君はきっと泣くし、ぽっぽちゃんはしばらくご飯食べてくれないと思うからね!?」 「大丈夫です。 ぽっぽちゃんならきっと、僕の手からご飯食べてくれるはずです。 」 「そんなこと無いし!・・・きっと無いし!!!」 二階から下りてきたイソップとノートンと言い合いをしていると、ナワーブが空になったマグカップを片手に立ち上がる。 夕飯の火の具合を見てくるようだ。 ついでにと、イライの空になったマグカップも預けておく。 「あ、そうだ。 机の上綺麗にしといてくれ。 もうすぐできるから。 」 「任せてナワーブ。 今日の晩御飯は何だい?」 「見てからのお楽しみ。 お前らおとなしく待ってろよ。 特にイソップ。 」 「何で僕だけ名指しなんですか酷くないですか?」 「イソップ君が一番食い意地張ってるからだと思うよ。 」 「そんな・・・!ノートンさんまでそんなこと言うんですか・・・! ?」 「あはは。 」 イソップがよく食べるのは、かつて荘園にいたメンバーでは共通の認識である。 元々よく食べるほうだったが、現代に生を得てからは以前よりもよく食べるようになった。 本人曰く「料理が前よりも美味しいのが悪いんですよ」とのことらしい。 「ちょっと二人とも、机の上片付けてよ。 私しか片付けて・・・、これは二人とも働いてないから、私だけご飯もらえる感じでは?」 いいよね、ナワーブ?一人で炬燵の上を片付けていたイライが不穏なことを言い始める。 机の上は4人分のレポート資料や私物が散らばっており、確かにこれを一人でやったとするなら優遇されてもいいだろう。 という量だ。 慌ててイソップもノートンも慌てて片付け始め、炬燵の上で無数の腕があちらこちらの飛び交う。 冬の間は皆、自室よりもリビングに集まってくる。 必然的に炬燵で勉強をすることが多くなるので、あっという間に物が散らかってしまう。 「イソップ君、これ部屋にもってって。 僕はここの図鑑片付けるから。 」 「了解ですノートンさん。 ついでに机拭いときますね。 」 「そういう所だよ、二人とも・・・。 」 一人でやっても終わらなかった量が一気に減っていくのを横目で見ながら、ナワーブは冷蔵庫の中から味噌を取り出す。 味噌を入れるとコクが出て美味しいと聞いたのだ。 ふと冷蔵庫の隅、ぽっぽちゃんの餌が入っている場所を見てみると、中身が減っている袋がある。 ぽっぽちゃんに関してはイライに任せっきりなので報告しなければ。 「そんな凹んでるイライ君にお知らせです。 ぽっぽちゃんのおやつがもうすぐ無くなりそう。 」 「あれ?もうそんなに減ってた?」 「減ってる。 こないだトレイシーが来たとき、ヘレナと二人してあげてた。 」 「成程。 丁度明日は特売日だし、食材買うついでにまとめて買ってくるよ。 」 イライと話をしながら味噌を溶かす。 味噌が溶け、チーズを乗せたら今日の夕飯は完成だ。 「よっし、できたぞ。 今日の飯は鍋~。 」 「待ってました!」 「イライさん、そこにある取り皿取ってもらってもいいですか?」 「これ?って今日のお鍋、2つもあるんだね。 味が違うのかい?」 「そう。 こないだウィラが教えてくれたミルフィーユ鍋とトマト鍋にしてみた。 」 「それ絶対美味しいやつ。 」 鍋の蓋を開けると、美しく層になっている白菜と豚肉が並んでいるミルフィーユ鍋と真っ赤なスープの合間にチーズが溶けているトマト鍋のいい匂いが漂ってくる。 ミルフィーユ鍋にはにんにくが散らされており、食欲を誘う匂いがたまらない。 トマト鍋はドロっとしたスープとチーズがいい具合に具材に絡まっているだろう。 「何言ってるんですかイライさん。 ナワーブさんのご飯はいつも美味しいに決まってるでしょう。 」 「違いない。 」 「褒めても〆のリゾットに卵が追加されてオムライスになるくらいしかないぞ。 」 「「「それで十分。 」」」 「「「「いただきまーす!」」」」 結局、〆にオムライスとミルフィーユ鍋の出汁でうどんを作り、4人のお腹に収まったことは言うまでもない。 本日のメニュー:あったかミルフィーユ鍋とトマト鍋.

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