心臓から溢れ出した声が。 小説

モラトリアム レミオロメン 歌詞情報

心臓から溢れ出した声が

放課後の教室。 人の少なくなったその場所で、タカは雛菊に声をかけた。 「おい」と声をかけると、漆黒の闇を持つ少女はひどく不愉快な感情を瞳に現わし眉を寄せた。 細い背中から発せられる圧力にタカは思わず尻ごみをし、それからぐっと踏みとどまる。 「あの……その……なんていうか……」 「わたしは、あなたにお話しすることなど何一つありません」 完全なる拒絶。 目の前が暗雲に包まれることを自覚し、ふらりと揺れた足元の安定感をギリギリ保つ。 「そっ……そうじゃなくてっ!」 なにか、というようにしてくるりと肩越しに向けられた瞳にどきりとし、それから深く浅く呼吸をする。 「えっ……と、朝の、やつ……ごめん。 なんか、ひどいことした、みたいで」 しどろもどろに吐きだされえたその言葉に、彼女の瞳が些細な色の変化をする。 「俺が、寝ぼけてたのかもしれない、多分、そうなんだと思うけど、もう、しないから、だから、ほんと、ごめん」 記憶が飛んでいることは本当だった。 自分が何をしたのかもわからないし、何を言ったのかもわからない。 けれど、自分自身が彼女に対し何かを行ったことも事実だし、怒らせたことも事実なのだろう。 彼の言葉に、彼女は動かしていたその手を止めて、顔を項垂れて漆黒の前髪をたらりと垂らした。 それから、収納し終わったらしい鞄の蓋を閉め立ち上がり、それを机の上に置いたまま、金髪の彼に向き直る。 「……わたしこそ、申し訳ありません」 小さく呟かれたその言葉は、新しい鈴の音のようにして彼の耳にしっかり馴染んだ。 「わたしは、人と接することが苦手です。 この学校に来て、この学校の人と仲良くできるのか、不安で不安で仕方がなかった……。 でも、あなたに出会えて、あなたが話しかけてくれて、私はとてもうれしかった」 少しだけ項垂れて、それでもほんのりという微笑を浮かべる彼女の言葉に、タカは全力で頷いた。 雨上がりの夜のような、露を含んだような黒い瞳。 艶やかなブラックダイアモンド。 長い睫毛が白い頬に影を作る。 薄い唇が笑っている。 「大河内君」 優しい色で紡がれたその音に、彼は碧眼を見開いた。 彼は、名前で呼ぶといった。 彼女は呼んで欲しいといった。 名字ではうまく呼べないから、もっと気軽な呼び方でいいと彼女に言った。 彼女はそれを拒否をした。 うまく呼べるはずのなかったそれを、名前で呼んでいいと言ったのに、彼女はそれを否定した。 幼い表情が薄い笑みを作っている。 まるで人形のようだ。 今にも泣き出しそうな、苦しい様な悲しいようなそんな笑み。 俺は、この顔を見たことがある。 いつだ? 初めて会ったとき。 クラスメイトに嫌がらせをされて、教室を飛び出した時。 そこじゃない、そうじゃない。 もっと前だ。 深夜のテレビのような、壊れかけたラジオのような砂嵐。 ノイズ。 壊れたビデオカメラのような残像。 耳鳴り。 地響き。 激しい目眩と振動。 全身を駆け廻る血。 遠くなる視界。 回る月。 重なる雲。 解かれる衣服。 扇子のように乱れ散る漆黒の髪。 夜色の瞳から泉のように湧き出る涙。 細い首筋に下を這わすと、面白いくらいに体が跳ねた。 構造のよくわからない衣服の隙間から手のひらを差し込んで、足の付け根を撫で上げる。 まるで高値の陶器のような滑らかさと自身にはない柔らかさを感じ取る。 跳ねるように上下する彼女の抵抗は、成長をした彼の下ではほとんど意味のないものだった。 あっさりとそれを抑え込み、漏れ出す声を抑えようと唇を噛み締める彼女の耳元で囁くように呟いた。 唇噛み切るから。 何か言葉を発しようとした彼女の唇を塞ぎ、弾力のある肉薄の腹部に掌を転がした。 (違う、違うんだ) 乱れた衣服の隙間から覗く、白い肌。 口を付けると、面白いようにして痕が残ってそれが彼の欲求と衝動に野獣のような火を付けた。 (そんな顔が見たいんじゃない。 そんな声が聞きたいんじゃない) 暴れるように動き回る彼女の掌が、すがるようにして彼の金色を掴み取った。 (永久にあると、永遠に君を愛すると誓ったはずのその君は) 先ほどまで彼が着ていた白いシャツは、ベストと共に宙を舞い、そのままベットの脇に落ちた。 細い金色の間から汗が滴り、頬に落ち、首筋を伝い彼女の鎖骨にぽとりと落ちた。 彼女の持つ柔らかな桜貝が彼の背中に紅色の曲線を描いた。 飼い猫に引っ掻かれた時のような痛みに目を細め、それからそっと汗の滲んだ彼女の額を掻きあげた。 (どうすればいい? 何をすれば、君はちゃんと笑ってくれる? 頼むから、お願いだから笑ってくれ。 ここにいてくれ。 消えないでくれ) まるで荒波に包まれたかのように感覚が揺れる。 遠くなる景色。 近くなる声。 見える姿。 見えない顔。 消えてしまう。 掴まなければなくなってしまう。 ぬるい人の体温。 絹のような黒髪が心地よい。 心臓の音が重なって聞こえた。 は、と彼女が小さく息の呑む。 心臓の音と同じリズムで体が揺れる。 肉薄の彼女の体の体温が徐々に上がっていく。 彼女は細い両手を精一杯突っ張って、それから勢いよく彼の胸元を押して距離を取った。 彼の両手が彼女の体から離れ、短い腕の長さ分の距離ができる。 彼女は今にも泣き出しそうな表情で息を切らし、自身の手で自分の体を包み込んだ。 「わたしはっ……」 彼女の体が震えている。 完全なる拒否反応。 「そのような名前ではありません……」 もうしないといったくせに。 もう、やらないといったくせに。 「なんで……」 あ、という声にならないような声を出し、彼は離された手を伸ばす。 が、全身全霊で拒否反応を示す彼女は、誰のものかもわからないような机の位置が乱れることも気にせずに、がっ、と距離を取る。 「どうしてあなたは、そう……」 彼女は机の上に置かれていた鞄を乱暴に手に取ると、恐怖と警戒、軽蔑のすべてが入り混じったような声でこう叫んだ。 「金輪際、私には近寄らないでください!」 ばたばたと遠くなる足音と、その場に残された机。 窓の開かれた教室で、タカはいまだぬくもりの残る両手を見つめていた。 汚いものでも見るかのような黒い瞳に絶望し、それからそれを引き起こした自分自身の行動に驚愕していた。 ありえない。 ありえるわけがないこんなこと。 タカは跳ね飛ばされた胸元を抑え、青い瞳を見開いた。 首筋から流れた汗が、彼の首元に伝い消えた。 そよぐカーテンと入る風が、混乱をする彼の思考を冷やしていく。 自分は確かにそう呼んだ。 聞いたことのある、けれどまったく聞き覚えのない名前。 どくどくと音を立てる心臓を抑え、信じられないことを口にするかのようにうめいた。 「……牡丹て、誰だ?」.

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第五章 溢れ出した欲求と波乱の予感 5

心臓から溢れ出した声が

勇司に抱きしめられて嬉しい音や、ときめく音はもちろん。 なんでいきなりそんな事をするのかわからなくて、不安な音も。 」 耳元で、囁くように呼ばれる。 耳が弱い僕は、それだけでビクッとなってしまった。 すると勇司は、くすくすと笑ってから。 「昨日、見たよな?」 心臓の音が、止まりそうなくらいの衝撃。 一気に全身から血が引いて行くような感覚。 「何、を…?何の、話?」 気付かないフリをしたい。 そうじゃなきゃ終わっちゃう。 だから必死で普通の声を出そうとしてるのに、どうしても声が震えてしまう。 震えちゃ駄目だ。 声も、身体も。 何も気付いていないフリをしなくちゃ。 なのに勇司は。 「見たよな?…俺と由香が、一緒にいる所。 」 どうしよう。 どうしたら良い?どうすれば捨てないでいてもらえる? 「俺が、想に気付かないはずないだろ?店に入って来た時には、もう気付いてたよ。 」 涙が堪えきれない。 次から次へと溢れ出してしまう。 駄目だ。 泣いたりしたら駄目なのに。 でも、頭の中がパニックで。 どうしたら良いのかなんて、全然わからなくて。 「声かけようと思ったら、出て行っちゃうからさ。 実は昨日…」 「勇司っ!!」 僕は、決定的な事を言われたくなくて。 大きな声で勇司の言葉を遮った後、くるりと振り返って勇司の広い胸に抱きついた。 「…想?」 「あ、あの、あのね、勇司っ!!」 言わなくちゃ。 何かを言わなくちゃ、続きを言われてしまう。 由香さんと寄りを戻すから僕はもういらないって、言われちゃう。 僕は、とっさに。 「お願い、捨てないで!!」 そう、叫んでいた。

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大阪吹田交番襲撃事件の犯人は元ドラクエ10プレイヤーだった!「ドラクエやめたら心臓から声が聞こえる」

心臓から溢れ出した声が

[00:00. 000] 作曲 : ミスミ [00:01. 384]あの季節僕たちは [00:15. 184]同じ空を見てた [00:18. 633]吹き付ける海風に [00:20. 537]輝くアスタリスク [00:23. 786]強く握りしめた [00:26. 342]希望の匂いがした [00:29. 507]「待ってるよ 待ってるよ」 [00:32. 195]浮かぶ君の言葉 [00:35. 292]白く果てなき世界 [00:37. 752]夢に見た僕の魂 [00:40. 127]深く沈む 夜を超えて [00:42. 538]おはようって言いたいのに [00:46. 005]あの日のキミの姿が深く心臓に刺さる [00:51. 141]「止まってしまえばいいのに」って傷が叫ぶよ [00:56. 342]だけどずっとそこにずっと走るキミがいて [01:01. 911]プログラムの愛が心を満たしてくから [01:19. 342]沢山の人達が笑う [01:24. 287]これが望んでいた場所なの? [01:29. 600]ねえ聞かせてよ君の声 [01:33. 033]かき消されてしまわないように [01:35. 476]ここが特異点になるから [01:40. 856]ひび割れたモヤの向こう [01:44. 067]壁を超えて繋がって [01:46. 367]駆け出して取り戻して [01:48. 589]シャープな気持ちの中 [01:52. 143]今でもキミの姿が深く心臓に刺さる [01:57. 285]「痛みを忘れずにいたい」って傷が叫ぶよ [02:02. 590]たぶんきっとそれはきっと笑うキミといて [02:08. 122]積み上げた思い出たちがそう胸にあるから [02:37. 765]あの日のキミの姿が深く心臓に刺さる [02:42. 777]燃え尽きそうな鼓動で傷が軋むよ [02:48. 063]だけどずっとそこにずっと走るキミがいて [02:53. 679]プログラムの愛が溢れ出してゆく [02:59. 380]過去があるから今明日にだって強く踏み出せる [03:04. 738]ゼロとイチのスキマが埋まって包まれたなら [03:09. 895]予定調和棄てた先のシナリオ [03:13. 392]ほら 耳を傾けて [03:15.

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